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2017年3月10日 (金)

松田瓊子

Book古本屋の小僧から店を持ち、後に作家となった出久根達郎だが、その「作家の値段」を見ていると、野村胡堂の項で、23歳で亡くなった松田瓊(ケイ)子という少女小説家がいたのを知る。

美智子皇后が中学時代、クラスで回し読みして親しんだ本が瓊子の「七つの蕾」であった。他に「紫苑の園」「香澄」などがあり、瓊子の父親は野村胡堂であり、後ハナ夫人に頼んで借り、再読されたという。お礼にプリンセスミチコのバラが贈られ、胡堂は感激して大切に育てたとか。

2011年亡くなった俳優の児玉清が、中学の頃、姉の少女小説趣味を馬鹿にしてからかってやろうと、中原淳一表紙絵の「紫苑の園」を本箱から抜き取り読み始めたが、心洗われる世界に涙してミイラ取りがミイラとなる。

後児玉がテレビ出演時、母親役だった女優の葦原邦子が、淳一の奥様であることに気づき、感動した「紫苑の園」の話をしたら、喜んで復刻本をくれたので、それを持って30年振りに姉を訪れ謝ると、笑って原本を戻してくれたそうだ。(「寝ても覚めても本の虫」より)

早速「七つの蕾」「紫苑の園/香澄」を入手読む。当時少女雑誌「ひまわり」に載ったそうだから、我が家でも姉が取っていた覚えがあり、聞けば判るかもしれない。少女小説の範疇を出た明るく美しい物語である。

瓊子はかのハンセン病に捧げた神谷美恵子と学生時代親しく、後年美恵子は皇后の不調時、色々アドバイスをされたと聞く。人の繋がりがこれほど感じられた事も無い。

全集は手に入らないようだが「すみれノート」という460ページ余の本が出され「サフランの歌」そして兄と結婚生活が短かった夫君とがモデルの最後の作品「湖畔の夏」それに日記等が収められている。「湖畔の夏」は5作品中一番良いと思った。

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