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2013年2月11日 (月)

abさんご

Book黒田夏子著「abさんご

75歳という芥川賞史上最高齢受賞ということで、大きな話題となり、毒舌評論家の斎藤美奈子が、ノミネート中から読まないと損をしますというので、読んでみた。アマゾンの紹介では、二つの書庫と巻き貝状の小べやのある「昭和」の家庭で育ったひとり児の運命とある。

難しそうだが短編だし、何とかなろうと思った。最初は早稲田文学新人賞での「早稲田文学」にしようか「文芸春秋」にしようかと迷ったが、いずれも雑誌では当然他のものも含まれる。値段的に同じくらいならと、初期作品も載る芥川賞前発行の単行本とした。

傘や蚊帳を「天からふるものをしのぐどうぐ」とか「へやの中のへやのようなやわらかい檻」と書いているというのだが、全部そうかと思ったら、これは意外に少なかった。だがどうも筋がはっきり分らない。アマゾンのレビユーでも今日現在19件だが、良いというのと分らないとが両極だ。

何回か繰り返し読めば良さが分るのかもしれないが、それほどの気は今の所起こらない。ただ独特の文章は読んでいて快く、よく分らないのから来る不快さといい勝負かなと思った。ということで他のレビュアーのように挫折とまでは行かないが、それに近い読後感である。

ところで横書きで左から始まったこの作に較べ、併録されている初期3作「毬、タミエの花、虹」は右からの縦書きで、至極全うな作品だ。タミエという女の子を描いたもので、どれもとても面白く、特に「タミエの花」は哀感のある好い小品だ。

出版されているのはこの他に「累成体明寂」があるらしいが、見出しでも「abさんご」様のものらしい。分りやすい作品からここに到る、長い道程が作者にはあった訳だ。 ★★★★☆

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