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2012年2月22日 (水)

岸辺の旅

Book湯本香樹実著「岸辺の旅

;湯本の「ポプラの秋」など人間の死を見つめた、少年少女の物語を読んで来たが、最近作は夫婦のやはり死に別れが扱われている。

瑞希の夫優介が突然居なくなって、探している何年か後に突然帰って来た。そして二人の旅が始まるのだが、彼は自死したあと色々な所で働いており、そこへ再び順々に訪れてゆくという、彼岸と此岸の交錯した、岸辺の旅となる。

最期は海辺での一瞬の光芒の中で終わるが、「泣きながらでも、ちゃんとご飯を食べる」という瑞希、一人残されたその心は、二人の旅によって悲しみから回復していくかのようだ。

このようにずっと生と死の問題を扱ってきた作者だが、私達がいずれ連れ合いを失うであろう時の、悲しみから立ち直る心構えを考えさせてくれる。湯本独特のあまり起伏もなく淡々と続く詩的世界が心地よかった。 ★★★★☆

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