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2009年9月16日 (水)

松風の家

Book 宮尾登美子著「松風の家」     ★★★★★

宮尾登美子が古き時代の女性の生き方を書いたものとして「蔵」「一絃の琴」「菊亭八百善の人びと」「伽羅の香」などを読んできた。

本書は千利休を祖とする茶道家が、衰退の末貧窮から立ち直る物語で、主人公は由良子だが、軸足は宗家そのものの変遷に置かれている。

最初は業躰、老分などお茶独特の言葉が出てきて、長々続く祖母の語りは少し難しいが、茶道の世界を概観してのプロローグとして必要だ。

秀旦二百五十回忌などと代々の先祖を長々と供養、その度に盛大な茶会を催すのだから、貧乏人には縁の無い世界ではある。

でも古い家制度の下で皆が結束する生活は、茶道にあまり縁の無い我々でもそれなりにちゃんとあったのだが、戦後急速に失ってしまい、なんとかけ離れてしまったものかとの感を本書で深くする。

そんな時代に帰ることはもう無いが、本書は日本文化の美意識の心が込められており、良きものも沢山失われたことを気づかせてくれる。

主人公の由良子や紗代子と継母の関係も色々波瀾はあっても、生母以上の感謝の気持ちを持つに到るのは、作者自身の生い立ちから来るのだろう。京言葉、仙台方言とも例の如く地方色が良く生かされている。

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松風の家(文春文庫)★★★★☆’:85点 最近、宮尾登美子さんの小説をよく読んでおり(「天璋院篤姫」「序の舞」「蔵」「天涯の花」「きのね」など。感想を書けていないものも多いのですけれど・・・)、その素... [続きを読む]

受信: 2009年10月 8日 (木) 16:10

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