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2009年4月18日 (土)

天涯の花

Book 宮尾登美子著「天涯の花

養護施設で育った孤児の少女珠子が、四国の霊峰剣山上にある神社の宮司へと養女に入り、おとなしく素直で誰からも愛されるが、親の無い子故に生ずる色々な困難を乗り越え、山の自然の中での成長と恋の物語だ。

植物が好きな珠子は何時もポケット図鑑を持って歩き、花を見付けるとそっと撫でて愛でるやさしい子だが、色々な花達の中でもとりわけ剣山にしか無いと言われるキレンゲショウマに惹かれる。「天涯の花」とは、このキレンゲショウマと清純な少女珠子が重ね合わされた題名である事が、読み進むにつれ判って来る。

破天荒な植物学者である牧野富太郎と、東大(旧帝大)初の植物学教室初代教授の矢田部良吉との確執は有名だが、この矢田部がキレンゲショウマの発見者であり、高等植物では日本初の発表でもあったそうだ。(小説中でも遭難して珠子に助けられる植物写真家、久能の話しとして出てくる。)

小説を書くにあたり何時も出来うる限り体験をする作者だが、この小説でも憧れていた剣山、体が弱く駐車場までで頂上は断念したそうだし、キレンゲショウマも見られなかったが、山の本を読み漁ったと言うだけあり、山好きの私が見て山歩きの気持ちが良く表現されていると感じた。

著者は保育園の保母の頃すでに着想しており、三十年を経て書かれたこの小説は、大自然の中での人々の生活が、下界(都会)との対比で描かれ、山と植物が好きな私は他の著作同様、無駄なく生かされた自然描写と相まって一気に読めた。

Kirengeshouma5

キレンゲショウマ(黄蓮華升麻)  植物園へようこそ!さんより。

なお最初石鎚山で、その後剣山、紀伊半島大峰山、九州祖母山などでも発見されている。

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