中勘助随筆集
27歳の無名の作家中勘助の「銀の匙」を夏目漱石が激賞して世に送り出したのは有名な話で、私も随分前に読んだが、子供の目で見た詩情溢れる作品に、清々しい感動を覚えた。
随筆集の中で"天の橋立"は「銀の匙」の少年の日に憧れた姉の友との再会と永訣の結末には、人の世の儚さ寂しさが胸に迫って来た。
"漱石先生と私"は学生時代に講義を受けた先生としての漱石と、その後漱石山房に参入するようになり「銀の匙」を推薦して貰う経緯や、漱石の人柄が良く判る。漱石が「僕も変人だけれど中も随分変人だね」と言っていたのは面白い。
今回随筆集を読み、詩や短歌も織り込まれた独特な文章の素晴らしさが味わえた。一般的な随筆と違い日記として書かれ、幼少期の自伝と言える「銀の匙」から80年の生涯が一覧出来るという事で、他の作品も読んでみたいと思った。
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