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2007年4月13日 (金)

(大連の思い出13)飯進上

Money_100milion 行商人は皆満人だった。"ボローエ"の呼び声は天秤棒で籠を前後に提げたくず屋で、ボロなど廃品回収だ。ボンという音を出して高粱(こうりゃん)を炒るのは"爆弾あられ"といった。その他いろんな物売りが売り声様々に家の前を通つた筈だが忘れてしまった。

2、3人の子供達(しょうはい)が"メーシシンジョーエ"(ご飯を下さい)と言いながら両手を差し出す。ほら"飯進上"が来たと言ったものだ。満人の子供の乞食だ。その様は汚れに汚れた姿で、敗戦後の上野駅の浮浪児等ずっとましだった気がする。

それを同じ手つきでからかう我々。そして脅かすと悲しげな目つきをして逃げて行ったのが強く記憶に残っている。敗戦後、その仕返しで、登校中足蹴にされ足を挫き1週間休んだ。奥地ではもっとひどい目にあったらしい。

小盗児市場(しょうとるいちば)というのは満人街にあり、盗まれた物が翌日にはそこの店頭に並んでいるといわれた。そこだか良く判らないが母と一緒に買い物に出掛けた事がある。必ず掛け値してあるから言い値で買ってはいけないとかで、値段を聞いた母がそれならいいと帰る素振りをすると、奥さん負けたと呼び止めるのだった。

(参考)幻影城書庫より 子盗児市場の殺人

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